ストレートワイヤーとは
歯並びは咬み合わせの面から見ると馬蹄形に並んでいます。それを歯列のアーチと表現しますが、馬蹄形という表現は曖昧で、歯の唇側や頬側にあたる面の連続性は複雑な形をしています。
例えば、真ん中の中切歯に比べて、その隣の側切歯は少し内側に引っ込んで並んでいて、そのまた隣の犬歯は外側に張り出しています。小臼歯と大臼歯との間にも切り返しがあり、多少の凹凸があります。
矯正治療をするために装着するブラケットという装置を歯の面に貼付けて使用するとき、歯の唇側や頬側にあたる面の中央部分に一定の厚みの装置を使用すると、上記の凹凸の変化は、ブラケットに装着するアーチワイヤーという針金にこの凹凸の変化を曲げ込まなければなりません。これが、ワイヤーベンディング(曲げ)の技術です。しかしながら、この曲げの表現は立体的には咬み合わせの方向だけでなくあと2方向あるのです。それらは特に歯軸(歯冠と歯根の方向)を表現します。それだけ複雑なワイヤーベンディング(曲げ)の技術には熟練が必要なばかりでなく、実際の治療で時間がかかることになってしまう訳です。
最近ではこの三次元的な変化の平均値をブラケットに組み込んで使用するため、アーチワイヤーにベンディングをせずに、馬蹄形のアーチワイヤーを使用すれば良いように材料が進化しています。これによって、一回ごとの治療にかかる時間が短くてすむようになりました。この技術をストレートワイヤー法と呼んでいます。 このストレートワイヤー法は、自由に曲げる事が出来ない形状記憶合金のアーチワイヤーの使用を可能にしたことで、従来から行ってきたさまざまな曲げ込みによる不快感も劇的に軽減することが出来ました。